／
音で見せる残虐な歴史
＼
冒頭、真っ暗なスクリーンから聞こえる音。この作品は聞く事が大切になることの予告である。
構図としては、見えない壁の向こう側がアウシュヴィッツ強制収容所、壁の外は裕福なルドルフ・ヘス所長の家。なんだけど、さらにそのスクリーンの外にはそれを見る私達という三層構造になっている。
こんなにも観客に語りかけてくる映画はあったかとも思う。それはエンドロールのユダヤ人たちの叫びともとれるような音楽にもあらわれている。是非座席をたたずに最後までその場に居てあの雰囲気を感じてほしい。
音は銃声や怒号だけではなく鳥のさえずりも聞こえてくる。ルドルフの妻にとってはどちらも同じようなものなんだろう。彼女にとってはここでの裕福な暮らしが全てである。収容所の中の事に無関心なわけではない、そこでの人々への残虐行為に関心がないのである。ユダヤ人が収容所に入る前にとられる衣服や装飾品の一部は彼女たちの手元にもいくようだ。
「ヒトラーのための残虐会議」とともに是非こちらの作品も多くの人に見られて欲しい内容でした。
