北米タルガ郡の町を囲む森の中で、多数の失踪事件が発生する。捜査に乗り出したグレイディ保安官が森の中で目にしたものは、行方不明者たちの無残な亡骸で…というストーリー。
ゲイリー・ビューシイ主演の、アメリカ山中で人食い虎が暴れるアニマルパニックです。ジャケはアルバトロスお得意の詐欺ジャケで、舞台は大都市ではありませんし、本編に登場するのはこんな巨大虎ではなく普通サイズのベンガルトラです。
凶暴なトラが森に潜んでいる事を知ったグレイディは、市長に州兵の出動を要請するも、年に一度の祭りの準備に忙しい市長は取り合ってくれない。しかしマスコミが町に押し寄せ更に被害が出たことでついに州兵の出動する事態に。一方、山中でひっそりと母親と暮らす少年ロイは、ベンガルトラと遭遇して、という内容です。
トラを主役に据えたアニパニは結構珍しいですが、撮影では本物のベンガルトラ使用しており、飛び掛かってくるシーン等はそこそこ迫力ありますね。ただ、人間との絡みのシーンは流石に本物使ってるだけに撮影難しかったのか、直接的な襲撃シーン自体は殆ど画面に出てきません。というか、トラが殆ど画面に登場しないんですよね。主人公達が駆け付けて無残な死体を発見するというパターンが殆どです。ただ、バラバラになった手足が散らばってたり、上顎から先がない死体、腰から上がなくなった死体など発見される死体の描写はかなりグロいです。州兵が出動するも、気づかないうちに仲間が襲われたりしてあっという間にやられます。保安官助手の一人がちょっと離れてる間に仲間がやられてるシーン等はトラの神出鬼没ぶりがよく表現されてたんじゃないかな。地面に寝転がっているトラの描写などはデカい猫という感じで可愛かったです(笑)
ストーリーはオーソドックスですが、登場人物の人間関係とか割としっかり作られてて、テンポも良いのでダレることなく見れました。ただ、どっちかと言えばドラマ性の方が強い作品なので、B級パニック期待すると「なんか違う」となるかも。保安官助手の息子を殺された市長の悲しみとか結構じっくり描かれててグッときました。後、この手の作品でまつりが開催されたら大惨事になりそうだけど、すでに州兵呼んでてトラ退治開始してたので、祭りは滞りなく大成功で終わってたのは意外でした。
話の中心となる少年ロイは、外科医は邪悪な物でいっぱいと学校に通わせてもらえず、トレーラーハウスで母親から聖書の勉強だけさせられて、嘘しか伝えないとテレビも無いという生活送ってます。そんな彼が夜になったら自分の寝床の窓の外に来たりするトラを友達だと信じて交流をもとうとする流れが描かれます。そもそもトラが逃げるきっかけになったのも、ロイが夢遊病で道を歩行してるのを、トラを運んでたトラックがよけようとして事故起こしたせいですが、この時もトラはロイを襲わないんですよね。ロイが所々で虎と精神感応してるような描写も入ってきます。
いつも悪役が多いゲイリー・ビューシイは珍しく善人役です。町の住民を守るために奮闘する保安官役を好演してました。また、中盤から登場するトラ退治の達人の元英国軍人の老ハンターもいい味出してました。ジムという名前からしてモデルはチャンパーワットの人喰いトラ退治したジム・コルベットなんだろうな。彼が死体の位置から事件の状況類推していくシーンも、トラの狡猾さをよく表してたと思います。ジムが森でロイと出会って交流を深めていくシーンも良かったですね。
終盤、トラが主人公追い掛けるシーンはやっぱり本物使ってるだけに迫力ありましたね。トラックの下に隠れた主人公達に足伸ばしてくるシーンとかの顔が凶暴な顔つきじゃなく普通の猫ちゃんみたいな顔つきで和んだけど(笑)上記の様にロイがトラと精神感応したり、友情感じてトラ諸井を襲わないシーンあるので、それが解決に活かされるかと思ったら、普通にロイの母親襲った後ロイも襲うとしてるシーンあるし、結局爆発オチで終わるのは拍子抜け。夢遊病とかロイ周りの設定全然意味なかったな。最後も主人公が銃撃ちまくった中の一発がガスタンクに偶々当たったまぐれ当たりで解決したようにしか見えなかった。何か最後の最後で面倒くさくなって適当に終わらせたような印象受けましたね。
特筆すべき点はないですが、安定したつくりのアニパニ作品ではあるので、この手の作品好きな人なら見ても損はないのではないでしょうか。
