幸せがあふれすぎてて泣けた。
笑顔いっぱい、幸せ感いっぱいのジャケ写から、勝手にラブコメものと思ってスルーしていた作品でしたが、タイムトラベルものって聞いたことと、ちょうどリバイバル上映しているということで観てきたら、予想外に良くて涙腺崩壊しました。。
ジャンル的には恋愛コメディになっていますが、恋愛ものというよりもファミリーストーリー。過去に戻って歴史改変しちゃったドタバタ劇でも、何度も過去に戻って彼女をものにする！、みたいな恋愛ものでもなく、どのように人生を送るべきなのかを教えてくれる、シンプルながらも重厚なストーリーでした。
『過去に戻れる能力を、お金儲けのために使ってはいけない。そもそも、幸せな金持ちなんていないんだよ。』
同じく過去にタイムトラベル出来る能力を持つ主人公の父はそう語り、大好きなディケンズの小説を繰り返し読むために過去に戻るんだ、とジョークを飛ばします。
そして息子の主人公ティムも初めは面白がってタイムトラベルを繰り返しますが、しだいに過去に戻ることが良いことばかりではない事に気づき、自分が父と同じ道をたどっている事、また、父が本当に伝えたかったことに気づいていく、というストーリー。
そんな本作は、過去に戻れるという能力を通じて、いちばん大事なのは今なんだよっていう当たり前のことを教えてくれるものになっていました。
『今の自分は未来から来た自分で、今日が人生最後の日だと思って暮らす。』
あえて単調な毎日をもう一度繰り返すことで、見逃していた大切なものが見えてくる。自分が余命わずかであることを受け入れると、道ばたに咲いている小さな花の美しさにも気付けるようになるといいますが、そんな愛おしい時間に早く気付けるといいのでしょうね。
映画でもなく、数年前の本の話ですが、『DIE WITH ZERO』という本があります。金銭的余裕と好奇心＆体力の両方が充実している時期は人生でも短く、好奇心と体力があるうちにお金は使い始めるべきで、使い切った状態で死ぬのが理想、という本。
また、こちらもベストセラー本ですが、『限りある時間の使い方』という本では、『今日という日を、未来に行くための乗り物にしてはいけない』 と言う言葉があります。どうなるか分からない未来の不安のために今日を生きるのではなく、今日という日、今という時間に”集中する”べきだ、という本です。
考えてみると同じことを伝えてくれようとしてくれている書籍や、本作のような映画が多いことに気づきます。本作は、忘れっぽい自分に、笑いと涙と、大切なことを思い出させてくれた、素晴らしい映画となりました。
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以下は余談です。
本作はタイムトラベルものではありますが、トラベルした先（過去の世界）にその時代の自分が居ないという、タイムリープ的な要素もある変わった作品でした。
何度か書いていますが、タイム☓☓ものには、以下の特徴によってタイムトラベル、タイムループ、タイムリープ、タイムスリップに分類することができます。
・方向性（過去にしか行けない、等）
・肉体が移動するか
・移動前の記憶が残っているか
・その時代の自分に合うことができるか
・歴史改変されるか
・移動先を自由に設定することができるか
・自分の意志で過去（未来）に移動することが出来るか
・移動できる回数に制約はあるか
もちろん、タイムトラベルもので最も有名なのは「バック・トゥー・ザ・フューチャー（BTTF）」シリーズだと思いますが、BTTFではタイムマシーンであるデロリアンで最高速で走らないと時間移動できないのに比べ、拳をぐっと握るだけで好きな時代に行けるっていう、オトクな設定👍
その上、記憶もそのままにその時代の自分を繰り返す事ができるので、彼女との一夜を繰り返すためだけに過去に戻るなんていう童貞チックでお手軽な時間旅行を繰り返すわけですが、自分が見たタイム☓☓もののなかでは、最も羨ましい設定でした😅
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主人公ティムを演じた、ドーナル・グリーソンの、”さえない普通の青年”っぷりも映画に合っていて、とても良かったと思います。
「エクス・マキナ」でアンドロイドの女性に翻弄される、冴えない青年役の彼だというのは、役柄も見た目もそっくりだったのですぐ気づきましたが、トム・クルーズ主演の「バリー・シール」に出てくる怪しいCIA職員役も彼だったんですね。
こっちは全くイメージが違ったので、優秀な俳優さんだったんだ、とあらためて気付かされました。
タイムトラベルの設定の甘さは気になったものの、幸せ感を補充するために、定期的に観る映画になりそうです！
