ダグラス・プレストン&リンカーン・チャイルドのSFホラー「レリック」をピーター・ハイアムズが映画化したモンスターホラーです。初見は子供の頃ですが、原作は映画見た後に読んだな。公開当時は同じくモンスター物で響きが似てる「ミミック」と比べられがちだったような気がします。
シカゴで南米発の貨物船が、乗組員が惨殺された状態で発見される。一方、シカゴ自然史博物館でも警備員が惨殺される事件が起き、事件を捜査するダガスタ警部補は二つの事件の被害者が脳下垂体を抜き取られている奇妙な事実を発見する。一方、博物館の女性研究員マーゴは、ブラジルへ調査に向ったホイットニー博士から送られてきた奇怪な獣の彫像と木の葉しか入ってない運送物を調べるが…というストーリーになっています。
前半は中々怪物が姿を現さず、博物館で起きた警備員の惨殺事件をダガスタ警部補が調べ、一週間前に起きたブラジルからの貨物船の乗組員が全員惨殺された事件の共通点を見つけたり、ヒロインマーゴが同僚から送られてきた運送物の中にあった木の葉に付着したカビを調べたりとミステリータッチで進んでいきます。モンスター物としては進みが遅いと感じられるかもしれないけど、個人的にはこの前半も楽しめました。
後半からは犯人が射殺されたと、まだ警戒を呼び掛けるダガスタを無視して市長たちが博物館で開かれる名士たちが集まるパーティーを強行した結果、モンスターが現れて惨劇が起こるというありきたりな展開ではありますが、パーティーの真っただ中に死体が現れて押し合いへし合い転びながら参列客達が逃げ惑うパニック描写は悪くないですし、モンスターが前面に出て来て、館内に残った生存者や突入してきたSWAT隊員の首引きちぎっていく描写も良かったですね。ロープ降下しながら下見たらあんな怪獣がいるとか滅茶苦茶怖いシュチエーションではありますね。「早く助けてくれ！」とパニクってた隊員が急に静かになって引き上げたら…のシーンは子供の頃見た時はインパクトかなりありました。
本作に登場するモンスターコソガは、スタン・ウィンストンがデザイン手掛けた、プレデターみたいな巨大な牙に、鱗に覆われた体表、マンモスみたいな体型にライオンの様なたてがみというその姿はインパクト抜群で素晴らしい。四足歩行で猛然と走って来たり、牙で人間の首を引きちぎり、ドアをガンガンぶち破りながら追い掛けたりする活躍ぶりも楽しい。今見てもCG等は古臭く感じなかったですね。ただ、画面が暗いので鮮明に姿が見えないのは残念。その正体は序盤からヒント出まくってるのですぐわかります。原作ではグレッグ以外最後まで気づかなかったけど。原作では少し描写あった悲しみも映画では流石にそこまで尺割けないからか描かれなかったですね。原作ではコソガは部族の名前でンブーンって名前だったけど。
死体の描写などは結構エグめですね。コソガの習性上、首チョンパシーンも良く出てきます。
まだ若いトム・サイズモア演じる迷信深く縁起を担ぐダガスタ警部のキャラが面白いですね。原作で一番キャラ立ってた、英国紳士風でシャーロック・ホームズを思わせる冴えた推理を見せる謎多きFBI捜査官ペンダーガストが出てこないのは残念だけど、ダガスタのキャラと合わせてたのかな。ヒロイン演じるペネロープ・アン・ミラーも知的美人で良かったですね。リンダ・ハントはダガスタに展示会の延期を言われても強硬する姿勢最初見せてたけど、コソガが暴れ始めてからは協力的で決断力も早かったですね。死亡フラグ立ってるかと思ったけど生き残って良かった。
クライマックスは原作と違ってマーゴが知識を活かしてコソガと一騎打ち展開になっており、火達磨になってもマーゴを諦めずに追い掛けてくるコソガのタフさと執念深さも良かったです。でも、ダガスタヒーローかと思ったら最後の戦い蚊帳の外になるとは(笑)
原作は登場人物も個性的で、内容も凝ってて、そちらはそちらで楽しめます。
展開はありきたりな所ありますが、ホラーやアクションのバランスよくて一級エンタメ作品になっていると思います。子供の頃以来の鑑賞ですが楽しめました。
