生命保険会社に入社したばかりの審査員チョン・ジョノは、ある日、女性からの電話で自殺時の保険金扱いについて尋ねられる。暗い声で質問する電話の主が自殺しようとしているのではないかと思ったジュノは、引き留めようと応対マニュアルを無視してしまい…というストーリー。
1999年に森田芳光かんとくで映画化もされた貴志祐介の原作を韓国でリメイクしたサスペンス・ホラーです。
ジュノは面識のない男パク・チュンベから指名され、彼の自宅を訪れる。そこでジュノは、チュンベの7歳になる義理の息子の自殺現場に遭遇。チュンベに不信を抱いたジュノはすぐさま保険金殺人を疑い、後日、チュンベから正式に保険金請求を受けるも、殺人の疑いを捨てきれず支払いの猶予を決断するが、という内容です。
原作は大昔にチラッと読んだ記憶があり、日本版もやっぱり昔に見た記憶が薄っすらありますが(大竹しのぶの怪演は印象残ってます)、今回の韓国版は、ブラックコメディ風味だった気がする日本版と違って、こちらはジメッとする怖さに包まれてる印象ですね。
前半は、面識のない男の自宅で子供の自殺現場に遭遇した主人公が、保険金殺人を疑い、支払いを猶予し続けていくうちに、自宅に無言電話が何十回もかかってきたりと不審な出来事が起きていく様が描かれますが、序盤から引き込まれて、ジュノがチュンベの過去や周囲を探ったりしてサクサク進んでいきます。チュンベも威圧的な言動したりすることないけど、毎日会社を訪れてジッと椅子に座って保険金の支払いの催促する所は静かに不気味な感じが漂ってましたね。その後、「何で金を払ってくれないんだ！」と必死な感じで言う所で「あれ？これはもしかしてこっちは…」と思いましたが。
日本版で大竹しのぶが怪演した妻役が今作ではえらい美人になってるのはビックリしましたね。陰のある薄幸の美人という感じで、そりゃ主人公も夫と別れなさいとか手紙送っちゃうわなと思いました。次なる被害者と思われた妻ユソンの本性が明らかになっていき始めてから恐怖度もあがってきます。本当の反社会性人格者が誰かに気付いたジュノが会議室に駆け込んだらユソンがいるシーンはギョッとしますね。
ジュノが外出している間にユソンが部屋に入りこんでるシーンや、公衆電話から自宅に電話かけて、留守番電話利用して部屋の音聞く所でユソンの呪詛の声が入ってる所や、部屋に戻ってみると滅茶苦茶に荒らされてるシーンはかなり怖い。
拉致された恋人のミナを救うため、家に侵入したじょのが訪れる地下室は、天井からロープで切断された手や犠牲者の死体がぶら下がってたり「悪魔のいけにえ」彷彿させますね。廃銭湯りようしたこの黒い家もかなり雰囲気あって良かったな。ユソンの追跡かわしながら地下室から脱出しようとするシーンもハラハラしました。
スコン！と切れ味鋭い音させる切断機をじっくり映した後でそこに腕差し込んで刃が腕に食い込むシーン見せたり、瞼を縫い付けたり、眼にキーホルダー突き刺してそれを引き抜いたりと、少しながら痛々しさ感じるゴア描写も盛り込まれてます。
主人公ジュノをファン・ジョンミンが演じてるのは驚きでした。今作では子供の頃に弟が自殺してて、その死に責任感じてトラウマになっており、それ故に人に気を使いすぎるくらい気を使うという設定が加えられてます。
原作では終盤の戦いは主人公の会社が舞台になっていたと思いますが、今作では病院が舞台になっています。ユソンがキーホルダーで刺されて潰れた目を弄るシーンはキモかったですね。包丁構えて襲いかかってくるユソンのキレっぷりも中々でしたし、刺されて血塗れになってのたうち回りながら必死で逃げて抵抗するジュノの奮闘もし島という感じで良かったですね。最後にジュノのトラウマ設定持ってきましたが、あんな刺されて殺されかけたのに許されたいからって殺人鬼助けようとするかね？と思っちゃいましたね。ユソンの最後の行動は「助けさせて満足感何か与えてやるものか」という思いからかな。
ラストも不穏な後味を残すものでしたね。同じような「心のない人間」はあとどれくらいいるんだろうか…
ジメッとした怖さやゴア描写など中々怖い作品になっていたんじゃないでしょうか。原作ももう一度読んでみようかな。
